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 H.pylori感染の診断と治療
のガイドライン 2003


煙草をやめて長生きを

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たくさんのガンを患って
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健康長寿こそ人生の最大事

消化管(胃・大腸)のがん

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煙草をやめて長生きを
 煙草は大航海時代に海を越え世界に広がりました。この時代、煙草はガンの治療薬のように思われ、長生きにつながると信じられていました。しかし、次第に煙草呑みの口や喉にガンが見つかることが多くなり、ようやく十九世紀に入って健康上よくないのでは?といった疑問が投げかけられ、二十世紀に入り、やっと疫学をはじめとするいろいろな研究から「煙草は早死にのもと」といわれるようになりました。煙草を吸うことによってなりやすい病気と、その危険性についてお話しましょう。

ある診察室での会話
医師「君は確か、診察の待ち時間に、よく病院の外で煙草を吸ってるよね」
患者「はい。病院のなかは、どこも禁煙だから仕方ないんです」
医師「この際、煙草をやめたら・・・・・・。煙草を吸いつづければ早く年を
   とり、早死にするよ。当たり前のことだけど、こんなことを知らない人も
   大勢いるからね」
患者「でも、そうおっしゃても、うちの隣のおじいさんは九十をとっくに超えて
   いるのに、まだうまそうに縁側で日向ぼっこしながら煙草を吸っていま
   すよ」
医師「それは立派なおじいさんだけど、いずれガンか動脈硬化で亡くなる
   可能性は高いかもね。そのおじいさんだって若いときに煙草をやめて
   ればもっと長生きができるのにね。一人一人の顔が違うように、身体
   だってみんな違うんだよ」
患者「そんなものですか・・・・・・。でも、やめようと思ってもやめられないん
   です。何かいい方法はないですか」
医師「とりあえず煙だけでも断つことを目的としたガムや、皮膚に貼るテープ
   はあるけれど・・・・。結局は自分の強い意志をもってやめようと思わ
   ないと難しいね」
患者「・・・・・・・・・。」
医師「依存症には身体的なものと、精神的なものがあってね、煙草の場合
   はほとんどが精神的なものからくるんだよ。煙草の煙にニコチンが含ま
   れているのは知っているよね。このニコチンが肺から血液に入って脳
   にいくと、ド−パミンという物質がたくさんできて、心地よくするんだよ。
   モルヒネやコカインの作用とまったく同じなんだよ」
患者「先生、ド−パミンといったら、何とかいう有名な病気と関係あるんです
   よね」
医師「よく知ってるね。そう、パーキンソン病に関係する物質だよ。
   最近では、煙草を吸えば、パーキンソン病に効くから予防や治療だ
   なんて馬鹿なことをいう人もなかにはいるけど、煙草で死ぬ確率の方
   がはるかに高いからね。全世界で二十五年後に煙草で死ぬ人は今の
   四百万人から一千万人に増えるといわれているんだよ」
患者「へぇー、恐ろしい数ですね」
医師「つまるところ、麻薬を断ち切るのと同じ決心がなければ難しいよ」
患者「何とか禁煙の努力をしてみます」

一般的に煙草好きで、中年以上の人は、同世代の非喫煙者よりも早く老け、顔や手はシワクチャ、やせ型でお尻から太股にかけ肉がゲッソリ落ち、上半身よりも妙に足が細く、なんとなく足どりも頼りなくなります。あなたもこんな人を見かけたことはありませんか。もしそういう人がいたら、その人は、もうガンになっているか、すでに足や心臓の血管が狭くなっているかもしれませんよ。

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煙草とガン
 煙草呑みがガンになりやすいことは、いろいろな調査や実験から明らかにされています。肺ガンをはじめとして、口腔ガン、喉頭ガン、咽頭ガン、食道ガン、胃ガン、大腸がん、膵臓ガン、腎ガン、膀胱ガン、や、この他にもあらゆるガンにおいて、煙草呑みの方が吸わない人に比べ高い罹患率を示しています。
 男性のガン死亡率で一番高い肺ガンでは @吸いはじめが早いほど、A一日の煙草本数が多いほど、B喫煙年数が長いほど、C中年過ぎても吸いつづけるほど、ガンの危険性が高くなります。それでは遅くから吸いはじめ、一日の本数も少なければ吸っても良いのかというと、そうでもありません。煙草を吸わない人に比べると、少しでも吸っていればガンになる危険率は高いのです。
 口腔、喉頭、咽頭、食道、胃のガンも比較的多く、煙草の煙がそのまま、あるいは唾液に混じった煙の成分が接触して、ガンになりやすくなります。パイプがいつもあたる舌の一部にガンが発生したり、アルコールと煙草を一緒にたしなむと相乗作用で食道ガンが発生しやすくなったりします。
 煙草の煙のなかには、ニコチンをはじめ、一酸化炭素、一酸化窒素、青酸ガスなど、四千種類以上の化学物質が混在しています。直接、あるいは間接的に体内に吸収された化学物質が代謝や排泄の過程を経て、細胞の遺伝子にそのまま影響を与えてガンをつっくたり、すでに何らかの他の原因で間違いを起こしやすい状態にある遺伝子に影響してガン化を加速したりすると考えられています。

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煙草と動脈硬化
煙草の煙のなかにあるニコチンは副腎という臓器からカテコールアミンという物質の分泌を促進し、血管を収縮させたり、血圧を上げたり心拍数を増加させたり、脂肪を分解したりします。また、一酸化炭素は赤血球のなかで酸素を運搬しているヘモグロビンという物質と結合し、全身の酸素欠乏を起こします。この他にも煙草の煙のなかにあるさまざまな化学物質が血液の凝固に関係する血小板を凝集しやすくさせたり、いわゆる善玉といわれるコレステロールを低下させたり、白血球とのかかわりから免疫異常を引き起こしたりして、最終的に動脈硬化を加速してしまいます。これらに血管のレン縮などが加わると破裂しやすくなります。ましてや肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、高尿酸血症等の疾病をすでに患っている方はなおさら危険です。

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煙草の害は周囲にも及ぶ
 煙草による危険は、吸っているご本人はもちろんですが、まわりにいる人たちをも危険に陥れます。家庭のなかで夫が煙草を吸うと、吸わない妻の方もガンや冠動脈疾患にかかる率が高くなります。逆に家庭で妻が煙草を吸い、夫が吸わない場合は、夫のガン罹患率が高くなります。赤ちゃんにも迷惑な話で、親が煙草を吸う家庭では、乳幼児突然死症候群の危険度が増しています。
 煙草を吸う権利を主張される方も少なからずおられますが、吸わない権利があることも忘れないでください。煙草の煙は、生命や健康を害し、寿命を縮める毒であることに早く多くの喫煙者が気づき、自ら煙を締め出す努力をすることが肝心です。ヒ素事件やトリカブト事件にもあるように、長期間にわたって毒を与えられ、著しく健康を害されることと、受動喫煙はある意味でまったく同じ道理です。まさに犯罪に匹敵するような煙害と言えなくもありません。煙草の煙を締め出し、すこやかに暮らせる環境をつくり、みんなで長生きを目指しましょう。

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